学級通信はじめてみませんか
学級通信は、保護者と学校、そして子どもたちをつなぐ大切なツールです。
しかし実際には、「毎回ネタに困る」「書くのに時間がかかる」「結局、連絡事項だけになってしまう」…そんな悩みを抱える先生も多いのではないでしょうか。教員の多忙化が進む中で、「通信の発行は優先度が低い」と考える方も少なくありません。
けれども、私にとって学級通信は 学級づくり・保護者との信頼関係・そして教員自身の力量形成の中核を担う、大切な取り組みです。一言で言えば、通信は「先行投資」。学級を円滑に運営し、保護者と良好な関係を築き、教員として成長し続けるための大きな力になります。
この記事では、私が実践している「学級通信を無理なく続けるためのコツ」を紹介します。単なるハウツーだけでなく、なぜ通信を書くのか/書くことでどんな効果があるのかを、子ども・保護者・教員それぞれの視点から考えていきます。さらに、作成の時短術だけでなく、通信を発行する際に気をつけたい点――管理職や同僚、保護者や子どもたちとの間でトラブルに巻き込まれないための工夫――についても触れていきます。
通信発行の目的を明確に①-学級通信は教員の必須業務ではありません-
まず初めに、学級通信を発行する目的について考えてみましょう。ここで押さえておきたいのは、学級通信の作成・発行は教員の必須業務ではないという点です。実際、「法令等で学校に義務付けられている業務等」一覧には学級通信は含まれていません。つまり、通信を作成したからといって残業申請ができるわけではありません。言い方を変えれば、学級通信の作成は“教員の自主的な取り組み”とも言えるのです。そのため、発行する先生もいれば、発行しない先生もいるのが現状です。
なぜ最初にこのような話題を提供したかというと、自戒の念を込めて申し上げますが、学級通信はあくまで本務を果たしたうえで取り組むべきものだということを強調してお伝えしたかったからです。
「法令等で学校に義務付けられている業務」には例えば次のようなものがあります。
- 授業:学校教育法や学習指導要領に基づき、教育活動を行うこと
- 指導計画の作成:目標や内容、方法、教材、時間配当などを具体的に定めること
- 生徒指導:信頼関係を築き、子ども理解を深め、主体的な判断や行動を支援すること
これらの業務を十分に行わないまま、学級通信に時間をかけてしまうのは本末転倒です。
授業が充実していなかったり、困っている子どもを放置したままで、「学級通信を100枚発行しました!」と言っても、そこには何の意味もありません。
これは誰もが理解している当たり前のことかもしれませんが、当たり前だからこそ忘れてはならない大切な視点です。ここで改めて強調しておきたいと思います。
通信発行の目的を明確に②-目的は大きく3つ-
学級通信は教員の自主的な取り組みだからこそ、「何のために作成するのか」という目的を常に意識し続けることが大切です。
通信を発行する目的は先生によってさまざまだと思いますが、私自身は大きく3つの目的を持っています。
- 学級づくりを推進するため
- 保護者と教育の価値観を共有し、信頼関係を築くため
- 教員としての力量形成のため
以下、順を追って、詳細に説明していきます。
目的① 学級づくりを推進するため
学級通信を通して、学級づくりを前に進めることができます。
その日その日の子どもたちの輝いている様子や、心温まる場面、思いやりにあふれた姿などを通信で紹介することで、クラスの中で望ましい姿・目指すべき姿に価値づけを行うことができます。
こうした積み重ねは、子どもたちに「このクラスで大切にされていることは何か」を自然と伝えることになり、学級の文化や雰囲気を形づくる力になります。
目的② 保護者と教育の価値観を共有し、信頼関係を築くため
保護者の不安の多くは、「わが子が学校でどのように生活しているのかが見えない」ことから生じます。
学級通信を通して学校での子どもの様子を“見える化”することで、その不安を軽減し、保護者との信頼関係を築くことができます。
「学級通信が必要」と回答した保護者の割合が明示されている、日本の調査データもいくつか存在していますが、それらを見てみると、小学校の保護者は90%以上が学級通信が必要と回答しているデータもあります。学校の様子が見える化できるツールとして保護者には重宝されているのが分かります。
また、保護者の方々はそれぞれに異なる教育観を持っています。ご自身が子どもだった頃の教育と、今の教育では大きく変わっている部分もあり、価値観の違いから不信感やトラブルにつながることもあります。
だからこそ、教師がどのような意図をもって日々の実践に取り組んでいるのかを通信を通して伝えることが重要です。そうすることで、学校と家庭が同じ方向を向き、協力して子どもの成長を支えることができるのです。
目的③ 教員としての力量形成のため
学級通信の作成は、保護者や子どもに向けた発信であると同時に、教員自身の学びの場でもあります。
子どもたちの姿を文章にまとめる過程で、「あの時の関わりは良かったな」「次の授業ではこう工夫してみよう」といった振り返りが自然と生まれます。これはまさに、教員にとってのリフレクション(省察)であり、力量形成につながる貴重な時間です。
また、通信を書くことで「相手に伝わる表現力」や「情報を整理する力」も磨かれます。これらは授業づくりや学級経営に直結するスキルであり、教員としての成長を支える基盤となります。
おわりに
「学級通信を作成してみたい」「もっと充実させたい」と思っている先生方は、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
――そもそも、なぜ学級通信を作成するのか?
何事もそうですが、目的がなければ、その取り組みの効果を最大限に活かすことはできません。
私はここで3つの目的を挙げましたが、先生方によっては他の目的を持っているかもしれません。
職員室の中で「自分は何のために通信を発行しているのか」というテーマで意見交換してみるのも、とても意義深いことだと思います。
ぜひこの機会に、通信を作成・発行する目的について改めて考えてみてください。
次回は、学級通信を発行することで得られる効果について考えてみたいと思います。


コメント